コラム・雑感

2023/03/23コラム・雑感

マンションからの立ち退き

先週末、金沢市内の法律事務所から、簡易書留で郵便が届きました。何だろう?と思って開封してみると、私の住んでいるマンションの所有者(東京の不動産会社)を代理して、8月末までに、立ち退くよう求めるもので、このマンションのほぼ全戸に送っているようでした。

・子供が通う小学校の通学可能区域内で、新たな部屋を見つけられる保証はない
・今のマンションは職場に近いので、引っ越すと不便
・今のマンションと同じ家賃で、同じ広さの部屋を見つけられる保証はない
・引っ越し代、新しいマンションの礼金、新しい部屋にあった家具・カーテンなどの購入費も馬鹿にならない

このようなことを考えると、立ち退きに簡単に応じるわけにはいきません。そもそも、このような立ち退き要求に応じる義務はあるのでしょうか?

答えは、Noです。そもそも、私の場合、賃貸借契約の更新が終了したばかりで、賃貸借契約の期間はまだ先まで続きます。仮に、賃貸借契約期間の終了が近いとしても、賃貸人が契約の更新を拒絶するには、「正当事由」が必要とされています。本件のようなケースでは、正当事由がないとされるか、正当事由があるとされるためには多額の立退料の支払いが必要となるものです。

所有者の代理人弁護士から届いた立ち退き要求を改めてみても、礼金及び引っ越し費用の一部を負担する旨の記載がありますが、これでは裁判で認められるであろう立退料に遠く及ばないでしょう。そのようなわけで、私としては立ち退きを拒否するか、十分な立ち退き料の支払いを求めていくつもりです。

ただ、1つ思うのは、私はたまたま弁護士であったため、この立ち退き要求の問題点を知っていましたが、他の賃借人の中には、弁護士からの手紙を受領して、立ち退かなければいけないと誤解してしまう方もいるのではないかということです。他の賃借人の皆様が、きちんと弁護士のアドバイスを受けて、この問題に対応することを切に願います。

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